ザトウクジラが舞う海、奄美大島南部へ


ザトウクジラが舞う海、奄美大島南部へ


鹿児島本土と沖縄県のほぼ中間に位置する奄美大島。島内は太古から生き続けるソテツなどを育む亜熱帯雨林の森と生き物のゆりかごとなるマングローブの原生林を、エメラルドグリーンの豊穣の海が取り囲みます。そんな圧倒的な自然が残る奄美大島に、冬季となる12月〜3月頃まで、繁殖や子育てのために多くのザトウクジラが集まる海として近年、注目を集めています。今年の冬は「ささやかなおうち市」をベースに、大海原に舞うザトウクジラに会いに行こう!

 

ザトウクジラの体長は12m〜14m。体重20tを越える巨大な哺乳類。季節ごとに回遊することで知られ、奄美大島の近海に来遊する個体は、夏はロシアやアリューシャン列島などの北の海で栄養を蓄え、秋とともに南下をはじめます。そして冬の間に奄美大島や沖縄諸島で出産、子育てを行っています。奄美大島では2月~3月が子育てシーズンとなり、多くの親子クジラの姿、また「ヒートラン」と呼ばれる、数頭の雄クジラが一頭の雌クジラを追いかける求愛行動なども観察されています。


そんなザトウクジラは活発な水面行動でも知られ、頭を水面にたたきつける「ヘッドスラップ」や尾鰭を激しく横なぐりに水面に打ち付ける「ペダンクルスラップ」、そしてジャンプするように水面上に飛び出す「ブリーチ」などのパフォーマンスは、ザトウクジラウッチングの醍醐味と言えるでしょう。


奄美大島では、北部でも南部でもザトウクジラが目撃されていますが、その多くは「ホエールロード」と呼ばれる島の東側と西側の外洋域を来遊するルート上です。それならば、当日の海況によってどちら側の海へも行くことが可能な南端の瀬戸内の港をベースにしたクジラウッチングツアーに参加するのがおすすめ。「ささやかなおうち市」からは車で30分ほどで行けるのも魅力です。


行程は、参加する前日の夕方頃までにツアー会社から、出航時間と出航する港の連絡があります。というのも、風向きや海況などによって出航時間は朝7時から10時までの幅があり、出航する港も瀬戸内の古仁屋港と隣の油井港を使い分けているから。当日は指定され港に行き、出発前に簡単な手続きとクジラウォッチングに関するブリーフィングを受け、いざ出航です!


朝8時。出航後すぐにハンドウイルカがお出迎え。しばらく並走してくれました。沖に出ると、遠くでザトウクジラが潮を吹いている姿を発見!少しずつ近づいて距離を縮めます。一頭の雌クジラを3頭の雄クジラが押しかけ回す「ヒートラン」の真っ最中で人間には全くお構いなし。目の前で繰り広げる雄クジラの様々な水面行動で、舞い上がる水飛沫の量が半端じゃない。奄美大島では状況次第でホエールスイムができるのが特徴。大抵はザトウクジラの進行方向に船が先廻りし、入水して泳ぎ去るザトウクジラを水中で観察するというスタイル。ただし、ザトウクジラの保護等によりスイムには「水面で泳がない(バタバタと音を立てない)」、「潜水禁止」などのルールを厳守すること。結局、この日はヒートランをするザトウクジラたちを時間いっぱい追跡し、午後3時に油井港に帰着。ザトウクジラウォッチングツアーは海上で過ごす時間が長くなるので、ジャケットなど冷え対策は必須。ランチは各自持参なのでお忘れなく。

ザトウクジラとの一期一会の感動は桁違い。ましてやスイムは海況やクジラの行動など、様々な環境の条件が揃った時に成功する貴重な体験です。冬の奄美大島は、大自然のさらなる感動と興奮が待ち受けています。